第36回国家試験の問題からです。
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70 歳、女性。体重 48 kg、標準体重 50 kg。自宅療養中の骨粗鬆症患者である。
1日当たりの栄養素等摂取量の評価を行った。
改善が必要な項目として、最も適当なのはどれか。
1 つ選べ。
(1) エネルギー 1,500 kcal
(2) たんぱく質 60 g
(3) ビタミン D 4 ng
(4) ビタミン K 300 ng
(5) カルシウム 700 mg
答えは(3)です。
非常に面白い問題と思いました。在宅での栄養素等摂取量を調べ、骨粗鬆症を改善する上で栄養素の過不足を答える問題かと思います。Web上での解説を各種サイトで確認すると食事摂取基準にもとづいた数値と照らし合わせています。食事摂取基準でビタミンDは、10~20μℊの摂取が推奨されているので、(3)ビタミンDの摂取量「 4ng 」では少ないということで改善が必要なのはビタミンDをもっと多く摂る必要があるということです。
ご本人は在宅で生活されているので栄養士は食事の内容を聞き取っています。栄養素等摂取量はあくまで推定です。ビタミンDの摂取量を在宅で今後十分に常食していけるかどうかの判断は難しいですし、すでに骨粗鬆症になっているのでビタミンDの推定量が少ないことを重視してもあまり意味がありません。多くの場合なんらかのお薬が出ていますのでドクターの処方に従います。それよりもご本人の今までの生活を尊重しつつ認知機能を評価し、ご家族のサポートはあるか確認します。
この設問の状況ですと、今後ご本人が転倒し骨折しないように担当ケアマネに引き継ぎケアプランに折り込むかどうかの情報を提供します。
国家試験問題の意図以外のことをたくさん書いてしまいましたが、まだ書くことはあります。ご本人さんとの食事相談の中で時間があれば「ご自宅でどんな生活をしたいですか」とか「どんな食事がしたいですか」とお聞きすると、ご本人からいちばん楽しくお答えいただけるでしょう。この話の中には興味深いことがたくさんあります。
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